国産クワガタムシ随筆集の第二弾はヒメオオクワガタです。(^^ しかし、半年で1本のペースでは、全部終わるのにいったい何十年かかるやら。。。(^^; |
私にとってはどのクワガタムシにもそれぞれ様々な思いがあるのですが、いま現在までを振り返ってみると
やはりヒメオオ、ということになるのでしょう。 ヒメオオの魅力はなんと言ってもその採集にあると思います。 晩夏から初秋の昼間、すみきった青空、ヤナギの緑、枝先にしがみつくヒメオオ。 見つかったときの得も言われぬ興奮や快感は、まさに筆舌に尽くしがたいところです。 オオクワガタと違って、その気になれば1日100頭採集も夢ではないけれど、 コルリクワガタのように数百頭採って、採り飽きるというわけでもない。 離島特産種などと違って、分布が限られているというわけではないけれど、 コクワガタのように、どこででも採れるというわけでもない。 そのバランスが私にとっては絶妙だったと思えるのです。 そして、ヒメオオといえば檜枝岐。 この檜枝岐の大自然がヒメオオ採集をより素晴らしくしているということも見逃せません。 檜枝岐村内の広沢林道だけでも分布しているクワガタムシは十数種。 仮に、ヒメオオが採れない時期でさえ、何度となく足が向いてしまうところでもあるので、 私は年平均15回ほど出撃することになってしまうのです。(^^; さらに、ヒメオオのもうひとつの魅力は、なかなか産まないこと。(^^; 何頭か幼虫が採れたという話はいくつも耳にしていますが、そのほとんどが単年での話。 数年以上に渡って、ある程度の数を累代し続けているという人を、残念ながら私はまだ知りません。 要するに、確実にヒメオオを手に入れたければ採集するしかない、という事実も 私にとっては他のクワガタムシと一線を画す要素になっています。 で、「そんなに採ってどーすんの?」とよく質問されるのですが、「採ったあとどうするのか」は私にとっては たいした問題ではありません。 もちろん、「採る瞬間が楽しい」から採っています。(^^ ちなみに、私が「採ったあと」の個体は、そのほとんどが里子や標本用の交換要員であり、 小型の♂や♀、フ節欠けの個体などは現地にてリリース。 残った個体はcoelacanth氏主宰のコバシャ販売促進要員にまわされます。(^^; 古くからの採集に著名な方々が、よく「檜枝岐のヒメオオはとても少なくなった」と言われますが、 数少ない私の経験から言わせてもらうと「少なくなった」(多少は減っているかもしれませんが)というより、 「採集者がかなり増えてきた」という印象です。 総数ではたいして変わらないけど、一人あたりの取り分が少なくなっているだけ、のような気がします。 その証拠に、ヒメオオが好む若いヤナギ群は年とともにその盛繁場が移動しているし、人があまり入らない林道では まだまだ鈴なりの木がいくつもあります。 檜枝岐のようなブナ原生林では人が入っていける場所なんて全体の数パーセントにも満たないでしょう。 したがって原生林がこれほどまでに残っているブナ帯において「採集によって個体数が減る」というのは、 ある意味人間の傲慢さをあらわしているのかも知れません。 自然に対していつも感謝の念を忘れず、今後もヒメオオ採集を楽しみたいと思っています。 |