二代目助手席日記・その2(初詣・三嶋大社編)


Iさんと言う人が救いようの無い「くわ馬鹿」だと言うことはわかっていたのですが、でも、
「元旦に和歌山までルイスツノヒョウタンクワガタを探しに行く」
とはびっくりです。もっとも、元旦からオオのボトル交換をしている私とどっちが重度の「くわ馬鹿」なのか、客観的に判断するのは難しいのかもしれませんけれどね。
でも、さすがに、新年早々の採集に気が引けたのか、
「和歌山から2日に帰ってきますから、3日に一緒に初詣に行きましょう」
とのこと。二代目助手席に対しても、気を遣ってはくれたようです。

さて、3日の午前9時。よほど和歌山が楽しかったらしく、満面の笑みで我が家(御殿場市)に到着。新年のご挨拶をした後、三嶋大社(三島市)へと向かいます。
私:「何で三嶋大社なの?」
Iさん:「初詣客のニュースで見たことがあるんですよ。でも、行ったことはありません。」
へぇ、そうなの。私の地元では初詣客が多い神社ではあるのですが、全国区でも知名度があるのかな?そんな雑談をしながら、三嶋大社に到着。境内には、テキヤさんの露店がずらっと並んでいて、お正月らしい雰囲気です。こう言う露店って楽しいですよね。でも、この寒い季節に“金魚すくい”まであったのには、驚いてしまいました。
「今晩のおつまみにいかがですか?から揚げにすれば、カルシウムも摂れますよ〜。」
これ、金魚すくいのお店にいたお姐さんのセリフです(実話)。そっか、ペットじゃなくて、食材なのね。^^;

お賽銭を投げて、ふと隣を見ると……Iさんは、左手だけでお願いをしているのです。Iさんが自分で両手を合わせるのは無理だものね。それじゃ、私の右手をIさんの左手に合わせて、一緒にお願いをしちゃおうかな。でも、何だかこれって、デートみたい。
しかし、一緒に手を合わせたからと言って、願ったことが同じとは限らないのですが。^^;

お参りの後、おみくじを引いてみると……おお、久々に「大吉」です。ちなみに、Iさんは「吉」。思わず、「勝った!」と喜んでしまいました。
そして、再び露店が並ぶ場所まで戻って来ると……
Iさん:「串焼きがある〜。二代目さんも食べませんか?」「富士の宮やきそばですよ〜。二代目さんも食べませんか?」
おいっ、そんなに何でもかんでも手当たり次第に食べるんじゃないっ!!
私:「もしかして、子どもの頃、お祭りの夜店で、欲しいもの全部を買ってもらってたの?」
Iさん:「そうですよ。二代目さんは違うんですか?」
「砂埃の舞い上がる中で調理された食品を子どもに食べさせたくはない」との大人の判断で、私がお祭りで買って貰えるのは、綿菓子くらいだったんだけどなぁ。でも、ま、Iさんの場合は、埃をかぶったイカ焼きも加熱不足の串焼きも、食品に含有されている細菌やウイルスまでひっくるめて、見事に消化吸収してしまいそうですものね。幼少時からの鍛錬の賜物で、胃腸まで「I」さんなのでしょう。

境内がそれほど広くはないので、あっさりと参拝は完了。でも、まだお昼を少し過ぎたところです。
私:「海を見に行きませんか?」
ますますデートみたい…。御殿場の山奥に暮らしている私にとって、「海」と言うのは特別な存在なのです。日常的に見られるものではありませんから。と言う訳で、沼津市の海岸沿いを進みます。Iさんは、何かを探している様子です。
Iさん:「昔、塾をやってた頃、塾の子ども達と、このあたりで魚釣りをしたことがあるんですよ。どこだったかな?と思って……。でも、変わっちゃって、わからなくなってしまいました。」
そう言ったきり、急に無口になってしまったIさん。もしかしたら、昔一緒に来たのであろう(初代)助手席さんのことを思い出して、感傷的になっているのかな?……と思いきや、
Iさん:「ダメ。眠くてもう限界……。道路が渋滞して、和歌山から横浜に帰ったのが、今朝の4時で……そのまま御殿場に来たので……。」
えっ?!つまり、全然眠ってないってこと?!
Iさん:「Kさんが運転してくれたので、3時間くらいは眠ってます。」
そりゃ、眠いよぉ。このまま運転してたら危ないよぉ。少し眠ろうよぉ。と言ったら、海の脇に車を止めて、僅か数分。深い眠りに落ちたIさんでありました。
そんなに眠いのなら、無理して来なくたっていいのに……。しかし、これが、Iさんなのでしょうね。
本能のまま、食べたいものを食べちゃう。行きたいところに行っちゃう。採りたいだけ虫を採っちゃう。眠たくなれば眠っちゃう。後先のことなんて考えないのでしょう。でもねぇ、もう若くないのだから、体力の限界とか、健康のこととか、少しは考えて欲しいなぁ……。
でも、二代目助手席が隣にいてもお構いなしに眠り込んでいるIさんって、考えようによっては、非常に健康的とも言えるのかもしれませんね。^^;
しょうがない、私は、海でも見ていようかな。昼下がりの海は穏やかです。海の向こうには、富士山が見えます。御殿場から見る富士山はどっしりと重量感があって好きなのですが、海から見る富士山はスラッと背が高くてカッコイイ。海の中には、小さな青い魚が泳いでいます。コバルトスズメのようですが、コバルトスズメはあったかい南の海の魚なので、違う種類なのかな?それとも温暖化の影響で、静岡県でもコバルトスズメが観察できるようになったのかな?などと、どうでもいいことを取り留めもなく考えているうちに、私もウロウト……。柔らかな日差しの穏やかな時間が過ぎて行きます。(*注:調べたところ、ソラスズメダイのようです)

40分程過ぎた頃、Iさんがお目覚めになられたようです。
Iさん:「実は、二代目さんに、和歌山からのおみやげがあるんですよ。」
ルイス(成虫♀1、幼虫いっぱい)、マメ(成虫1、幼虫いっぱい)、ヒラタ(幼虫1ペア)、コクワ(幼虫1*体色は赤いと有名な某所産)。そして、赤枯れの材(ネブト入り。自宅にてネブトの材採が楽しめます)。
私:「あれ?ルイスとマメ、成虫は1頭ずつしか採れなかったの?」
Iさん:「いえ、1頭しか採らなかったのです。ルイスとマメの入っている材は、割らずにそのまま残してきてあります。今度一緒に行った時に採りましょう。」
……。(^^♪
Iさん、あなたは、本当に、いい人です♪
暖かくなった頃、和歌山まで、ルイスを採りに行けたらいいな……。

帰り道、クヌギ林の近くを通り過ぎたところで、呟いてしまったのが間違いだったのかもしれません。
私:「あの林でね、数は少ないけど、ヒラタが採れるんですよ。コとノコとアカアシも採れます。」
Iさん:「えっ?!どこ?どこ?どこ?」
私:「あのへんだけど(と指差す)、もう通り過ぎちゃったし、今の季節には何もいませんよぉ。それに、急な坂を登らなくっちゃいけないので、Iさんには無理じゃないのかなぁ?」
躊躇なく、Uターン。
Iさん:「これくらいの坂なら、全然、大丈夫です。」(と、軽い足取り)
でもなぁ……私は、今日、初詣に行くだけのつもりだったからスカートだし〜、ハイヒールではないけど山を歩くような靴ではないしなぁ……この格好で、クヌギ林に入るわけ?Iさん、マジですかい?(と、重い足取り)
Iさん:「この木……樹液、ダクダクだったでしょ? ああ、この木も……。(^^♪ 」
そだよ〜。(*^^)v
実は、この日、初詣中のIさんは、いつもよりも歩くペースがのんびりだったのです。どうやら、和歌山での採集で無理をしたらしく、足に負担が掛ってしまったようで、ちょっと心配だなって思っていたのですが……。クヌギ林なら、こんなに急な坂でも、さっさと登ってしまうんですね。もう、呆れてしまいます。やはり、Iさんにとっては、クワガタが最高のリハビリなのでしょう。
しかし……あ〜あ、この林のクワガタ、今年の夏には絶滅しちゃうんじゃないかなぁ?Iさん、どうか、あんまり無茶な採集はしないでくださいね。Iさんのためにも、クワガタ達のためにも。
しかし、新年早々、初詣の帰りにクヌギ林を歩くことになるなんて……あり得ないことだと思いませんか?お着物で出かけなくて、本当によかったです。

その後、明るいうちに自宅にお届けいただきましたので、今回も、Jさんが身を乗り出すようなお話はありませんでした。この先、ちゃんと進展するんでしょうかねぇ?もっとも、進展したら進展したで、HPに書ける話題ではないのですが。(^^;


差し当たって、私のささやかな願いは……たった1日でいいのです。今年こそ、Iさんと、虫と関係ない一日を過ごしてみたい……。

絶対に、無理だな。^^;
何はともあれ、今年も、どうぞよろしくお願いします。

初日の出初日の出



二代目助手席の部屋へ戻る    TOPページへ戻る
2011.01.03