¶はじめに 1999年4月6日は私たち外国産くわがたファンにとって画期的な1日となりました。 外産くわのトップを切ってニジイロクワガタの生虫輸入が解禁されたのです。 ただし、解禁申請記(前編)をご覧になればおわかりと思いますが、ニジイロの申請を行ったのは 私ではなく知人のF氏です。 このページでは、F氏の快諾を得てニジイロ解禁までの経過や具体的な輸入方法をご紹介いたします。 以下青字の部分はF氏の原稿をそのまま掲載してあります。 ¶ニジイロクワガタの輸入承認について ニジイロクワガタPhalacrognathus muelleri(MacLeay,1885)は、オーストラリア北東部に分布 する豪州最大の美しい1属1種のクワガタムシである。 筆者はニジイロクワガタを初めて見て以来ニジイロクワガタ是非、生体で輸入出来ないも のかと考えた、植物防疫所へ輸入許可の申請を行い、ここに承認されたので報告する。 読者もご存じのように、日本には農林水産省植物防疫所があり昭和25年に制定された植物 防疫法により植物を食害する昆虫の輸入を制限しており事実上、公共機関の調査研究及び 公共機関の展示目的以外は特許を申請しても不許可です。 各種クワガタムシもこれに該当し、ノコギリクワガタProsopocoilus inclinatus (Motschulsky,1857),アカアシクワガDorcus rubrofemoratus(Vollenhoven,1865)の2種に限り 輸入を承認されている。勿論、種についての承認であるからヤマダクワガタDorcus yamadai(Miwa,1937),アスタコイデスノコギリクワガタProsopocoilus astacoides (Hope,1840)の輸入は当然制限されているわけである。 なぜこの2種が輸入を承認されたかは朝鮮半島亜種の標本が日本の標本に生態が近いので 承認されているとの植物防疫所の見解である。 さて、ニジイロクワガタについては日本に近似の種は見当たらず輸入承認は事実上、不可能 かと思えたが、以下の出来事をヒントに輸入許可の承認は可能だと確信する。 農林水産試験場及び日本植物防疫協会にクワガタムシの誘引剤はありませんか、との問い 合わせに害虫でもない昆虫の誘引剤は存在しないと回答を頂く。 クワガタムシは研究者は害虫で無いと判断しているのである。 後は必要書類を集めてアタックするのみである。 筆者が輸入許可申請に提出した書類。 1)農林水産大臣宛の輸入許可申請書一通。 2)種を同定出来る写真及び分類、分布についての記載文。 3)輸出国研究者の生態学についての記載文及び無害を証明する書類。 平成11年4月6日についに承認頂く。 筆者が神戸植物防疫より承認の連絡を頂いた書類。
つまりニジイロクワガタにおいては成虫態に限って自由に輸入出来るようになったのである。 オーストラリアにおいては輸出の規制の対象となっている動物なので輸出の許可を取得し ての輸入を心がけたい。下記へサイテスの申請先を提示します。 Wildlife Officer Wildlife Protection Environment Australia GPO BOX 636,CANBERRA ACT 2601 AUSTRALIA Tel:+61-2-6250-0291 Fax:+61-2-6250-0303 今後、海外よりクワガタムシを輸入飼育される方には、日本には固有の種が存在しており 生態系に及ぼす影響を考え放虫することなく管理、飼育して欲しいものである。 承認を頂くにあたり、協力下さった神戸植物防疫所、近沢氏、坂口氏、 Dr G.F.Bornemissza、Mr G.A.WOOD、Mr J.HASENPUCH、に厚く感謝を申し上げる。 ¶おわりに ともあれニジイロクワガタの解禁により、外産のさらなる解禁へ弾みがついたことは間違いありません。 まもなく回答される見込みの、私が申請した20種も、1種でも多くの解禁を願いたいと思います。 なお、F氏のこの件に関する報告は以上がすべてです。 F氏に直接お問い合わせすることはご遠慮下さい。 |
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