03月21日。 火曜日が仕事休みの標本修理工Tさんに無理を言ってホソツヤ採集に同行させていただくことになった。 はじめはネブト掘りを予定していたのだが、当日朝、中央道に乗ってから急遽行き先を山梨ホソツヤに変更したのだ。 当初降りる予定だったインターを過ぎると、まるで我々を歓迎してくれているかのようにクルマが燃えている。^^; 炎上するトレーラー 「波乱の1日を予感させますね。^^;」 と言いながら、まるで星飛雄馬のようにヒトミの奥で炎が燃え上がるTさんだった。(燃えているクルマがただ映っていただけ、という噂もある^^;) さて、途中のコンビニで食料を調達し目的地に08時半に到着、早速崖のぼりが始まった。 4日前に助手席と来たばかりだが、もう今日は雪がほとんどない。 春は雪が消えるのも早いものだ。 崖を登り始めるなりすぐに美味しそうな材を見つけた。(この場合「登る」と言う表現が適切なほどの急斜面だ。) さらにTさんも美味しそうな2本の材を拾い、私のためにと運んできてくれた。m(_~_)m 産卵マーク 産卵マークの上から注意深く削っていくとすぐに幼虫が出てきた。 幼虫 コルリかホソツヤのどちらかだが私ごときの目では同定できない。 材の乾き具合から言ってホソツヤだと思うが、そんな材にもコルリは入っていたりするものなのだ。 1時間がかりで、さらにいくつか幼虫を割り出したが成虫が出ない。 この3本は諦め、さらに上に登っていったTさんを追いかけるべく、私も崖登りを始めた。 しかしキツイ。 雪が消えているとはいえ、まだ地面は半分凍っているような状態だ。 うっかり滑落しようものなら場合によっては大ケガは免れないだろう。 そう考えると余計体中に力が入ってしまって疲労も倍増である。 相当上まで登ってきたがTさんの気配はない。 花粉と目に入るゴミのためにテンションは最悪だ。(-_-メ 黄色い枠に多数のホソツヤの産卵マーク ある程度登ったところの立ち枯れにホソツヤの産卵マークがびっしり。 しかし注意深く削ってみたものの、食痕は1本たりとも出てこなかった。 ふと目に付いた足下に転がる材を割ってみた。 いきなり幼虫が出た。 ひと割りごとにボロボロ幼虫が出る。 コルリでもうれしいなぁ、と思いきや、なんてこったマダラ幼虫じゃないか。 これだけ割り出すまで気が付かないなんて。 まるで魔法が解けてホソツヤがマダラに戻ってしまったような感覚だ。 シンデレラの気持ちがよく分かったような気がした。^^; 「Tさぁ〜〜ん」 数回呼んでみたが、帰ってくるのはコダマばかり。 割り出すのはコルリっぽい幼虫ばかり。 そのうちにお昼を過ぎ、疲れはピークだ。 ひょっとしたらTさんとすれ違いになったのではないか、と思い最初のポイントまで下りる。 が、いない。 やはりもっと上に登っていたようだ。 仕方がないので、最初に割った3本のうちの自分で見つけた1本を割り続けることにした。 すると、なんと成虫♀が出た!! 「やった〜。(^^)/」 と万歳したわけではないが、とてもうれしかった。 しかも、コルリ♀に似ているようだが疲れ切った私の目にはどうやってもホソツヤ♀にしか映らない。 現金な私はまた崖を登る元気が出たので、Tさんを捜しに再び登山を始めた。 山の中腹まで登ったところで下山してきたTさんとようやく会えた。 母をたずねて三千里のマルコの気持ちがよく分かったような気がした。^^; そこでゲットしたばかりの♀成虫を見ていただいたところ、 「コルリですね。」 トウカイコルリ♀ 登ってきたばかりの崖からあっさり突き落とされたような気になった。 コルリ♀とホソツヤ♀の区別もつかないほど疲れている自分自身に気が付いた。 マッチ売りの少女の気持ちがよく分かったような気がした。^^; Tさんは軽く15頭以上の成虫を割り出しているのに、私は5時間を経ていまだにぼ〜ず。 そんな私を見かねてか、Tさんは美味しそうな木を探してきては次々に手渡してくれる。 情けない、と思いつつも、それらの材を次々に割る自分。 が、やはり出ない。 ダメだぁ〜、本当に出せない。 さらに割り続ける私のそばでTさんも再び割り始めた。 「いましたよー、ホソツヤ♂」 なにっ! すぐにTさんのところへ駆けつけ割っていた材を見た。 綺麗だ。 メッチャ綺麗だ。 蛹室の中の新成虫が太陽の光に輝いてそれはまるで宝石のよう。 写真ではもちろん、標本だってこんな輝きは再現できないような気がした。 「まだ入っていると思いますから、どうぞこれを削って下さい」 そんな、、、これはTさんが見つけた材だし、、、それを割るなんて、、、 という気持ちとは関係なく、手は動いてしまっていた。^^; ほどなく成虫♀ゲット。(^^)/ ホソツヤ♀成虫 初ゲット ホソい、ツヤがある、ルリ色だ。 図鑑で見ても納得できなかった和名が実物を見て十二分に納得できた。 本当に綺麗だ。 こんな急斜面の山なのにスキップしたい気持ちを抑えられない。 アルプスの少女ハイジの気持ちがよく分かったような気がした。^^; このあと、美味しそうな材を1本持ち帰ることにしたのだが、半分凍った急斜面を材を担ぎながら下りるのは一苦労だ。 綱渡りのようにおっかなびっくりの私の足取りを見て、見かねたTさんがその材を担いで下りてくれると言う。 今日は本当に何から何までTさんにお世話になりっぱなしだ。 深謝。 急斜面で滑落しそうになりながらも材を担いで下山するTさん それでも下山途中に2回ほどこけてしまいジーンズが泥だらけになってしまった。 着替えはない。 帰ったらすぐに仕事なのに、どういう言い訳をしようか途方に暮れながら帰路につくあいあんだった。^^; ホソツヤルリ 1♀ トウカイコルリ 1♀ 計 2頭 |