山梨 00年05月14日





05月14日。

前日、山梨・御坂で悲惨な結果を引きずって帰還したあいあんは、夕方の仕事を終え助手席と再び山梨へ向かった。
途中の道の駅で2日連続の車内泊。
2日連続だとさすがに首が痛い、と助手席の不満も当たり前か。^^;
06時、予定通り標本修理工Tさんを拾い目指すは富士山だ。

富士山は少なくともルリ・コルリ・ホソツヤ・マダラ・ツヤハダの高山小型種に加え、ヒメオオ・アカアシ・ミヤマ・オニなどの中高山種、スジ・コ・ノコギリなどの普通種も採れるくわがたの宝庫の山なのだ。
この日はいつものように1本に絞る採集方法はやめて、ズバリ富士山で採れるとされている種をできる限り多く採ろうと考えていた。

コンビニで朝食を済ませ、早速Tさんのポイントへ案内していただいた。
が、着いてビックリ、というか案の定というか。
4年前に助手席と一度来た場所であった。
現在に比べると、当時はくわ目が全く貧弱であったため、くわどころかその他の甲虫すら採れずに帰った場所だ。
しかし、さすがに4年の歳月はあいあんの腹だけでなく、目も肥えさせていた。^^;

まずはTさんが見つけたブナの太い立ち枯れを削る。
Tさんはアッという間にアカアシ、スジ成虫を割り出すが、
「この木にはヒメオオはいませんね。」
と言いながら、さっさと次の材を探しに行ってしまった。
ハイエナ根性丸出しのあいあんはココぞとばかりに続きを削るが、Tさんの言った通りアカアシしか出なかった。^^;

富士山産アカアシ♂

富士山産アカアシ♂

少し歩いて場所を変えてみる。
横を歩いていた助手席が地面の細い倒木をやおら拾い上げて、
「コルリのマーク。」
えっ?ホントだ。
さすがミスコルリ。
マークを見つけたぐらいでは全然表情が動かない。
実に冷静になったものだ。^^;

その後Tさんが倒木からヒメオオをゲットだ。
なるほど、檜枝岐でヒメオオを材採した時とほとんど同じような湿度と硬さだ。
私も削らせてもらうことにした。
しかし、ブナは硬い。
メチャ硬い。
しばらく削るとスジ♀が出る。
続いて大きめの蛹室が現れた。

富士山産ヒメオオ♂

富士山産ヒメオオ♂

山梨産初のヒメオオゲットだ。^^
再び1♂ゲット。
その後延々削ったが♀が出ない。
2時間近く削ったが結局出そうにないので、別のポイントへ移動することにした。

途中Tさんがルリの産卵マークを発見。
狙いをルリに変えて削り始めたので、私もよっしゃそれならと何気なく再びヒメオオ材に戻ってみた。
削り始めて約十分後♀が出た。

富士山産ヒメオオ♀

富士山産ヒメオオ♀

ヒメオオもペアを揃えたので、続いて隣の立ち枯れを倒し根部からミヤマを狙う。
ノコギリなら根部の横の土中の蛹室から成虫を出した経験があるので、ミヤマもほぼ同じだろうと推測し、同様に土を掘りまくった。

「ミヤマのオヤ(成虫)はきびしいっすよ。^^;」
Tさんがあきれたように声をかけてきた。
たしかに幼虫は出るが成虫は出ない。
結局ココではさらにオニ幼虫・ホソツヤ幼虫とアカアシ成虫を追加しただけで、ミヤマ成虫は出なかった。
残念。

昼も近づいたので昼食をとるためにさらに林道を進み、見晴らしのイイ場所まで行くことにした。
しかし、途中とんでもない悪路が待ちかまえていた。
車道の真ん中なのにスタックしてしまったのだ。
前に進もうにも、後ろに退こうにもタイヤが空転してしまい、いつかのあ〜さん状態だ。^^;
15分ほどかけて道を掘り下げ、ようやく脱出することができたが、この時私とTさんのズボンや手は真っ黒だった。^^;

さて、そんな困難も乗り越え暖かい日射しのなか3人で昼飯だ。
気温も暖かく日射しもまぶしく、コルリの新芽も期待させるようなシチュエーション。
しかし、木の芽吹きはまだまだでココでの新芽採集は早々にあきらめた。

となると、材採である。
早速Tさんがコルリマークの付いた美人木を見つけて手渡してくれた。
「助手席さん、どうですか?」
助手席のために拾って下さったのだが、如何せん助手席は「自分で見つけた材しか削らない」、という主義なのだ。^^;
これを聞いたTさん曰く、
「助手席さん、素晴らしい。^^」
素晴らしくない私は、主義もないのでこの材を削る。^^;
早速コルリ♀だ。^^

富士山産トウカイコルリ♀

富士山産トウカイコルリ♀

伊豆のトウカイコルリに比べて光沢がやや強めのように見えるが気のせいか?
このあと、さらに1♀追加。
♂の方が先に脱出すると言われているのでやはり♀しか出ない。
が、Tさんはしっかり♂も割り出していた。
さすがだ。

ホソツヤのマークも全く見あたらないし、コルリも諦め、狙いをツヤハダ・マダラに変更だ。
ところが、このあたりから突如雷雲が発生。
空もアッという間に暗くなり、雷もすぐ近くで鳴るようになった。
残念だがひとまず撤収か。

クルマまで戻ると待っていたかのように豪雨となった。
みるみる雷雲も近づいてきたので、しばらく雨宿り、のもくろみも諦めざるを得なかった。
雷を左手至近距離に見ながら林道を下る。
そのうち雨は猛烈なヒョウに変わった。

ヒョウ

ヒョウ

またたく間に道路はヒョウの白い固まりで真っ白になってしまった。
フロントガラスに打ちつける音は、まるでパチンコを連想させる。^^;
そんな猛烈なヒョウだった。^^;

雷雲を抜け、最初のポイント近くまで戻ってきた。
午前中、助手席がルリ系の幼虫を3頭割り出したらしいのだが、そのまま忘れてきてしまったというのだ。
ケースを持っていなかったので、あとで取りに戻るつもりがすっかり忘れてしまったらしい。
なんと可哀想なことを。^^;

戻ってみると、1頭はどこかへ消え、1頭は何か別の昆虫に食らいつかれて☆。^^;
結局1頭しか確保できなかった。
今度からマイオノにマイバッグ・マイ採集着だけでなく、マイケースも携帯しようね。^^;

このあと2カ所ポイントを廻ったが、Tさんがツヤハダ幼虫を1頭採っただけで、結局最後までツヤハダ・マダラ成虫は割り出せなかった。

ツヤハダを狙うTさん

ツヤハダを狙うTさん

3人の成果は成虫・幼虫合わせて、ヒメオオ・アカアシ・スジ・オニ・ホソツヤ・コルリ・ミヤマ・ツヤハダ・ルリ(不確定) の都合9種、私だけだとツヤハダを除く8種。
はじめてにしてはまあまあと言ったところか。

次はなんとしても成虫だけで10種以上を採ってみせるぞ、と息巻きながら富士山をあとにするあいあんだった。^^


ヒメオオ       2♂♂ 1♀
アカアシ       2♂♂ 1♀
トウカイコルリ       2♀♀
スジ            1♀

計              9頭


2000.06.10