10月12日。 ヒノエ「タマ」'採取'記 ・・・ ・・・・・ 反対側のコーナーには黄色のワンピース水着に包まれた助手席が立っていた。 テニス・バスケで鍛えられた体だ。 それに対しあいあんは、白いもっこりブリーフパンツの上から、まるで溶けかかったソフトクリームのように垂れ下がる3段腹。 カ〜〜ン。 そう、今日は助手席とプロレスの対戦なのだ。 今年はコルリ採集で完敗続きだったので、せめて力技で一矢を報いたいところだ。 ゴングと同時に助手席につかみかかる。左脇腹に首を抱え込んでヘッドロックだ。 が、敵も然る者。腹越しに左ジャブが股間へ3発。 「うぐっ。」 痛みにロックが解け、思わずうしろへ後ずさる。 「どう、まいった?」 「ぜーんぜん平気。^^;」 太っているのにヤセ我慢をするあいあん。 「あっそ、じゃ遠慮なく。」 次の瞬間、目にもとまらぬ右キックが同じ場所を直撃。 「うぎゃ〜〜〜〜〜」 カンカンカンカンカーン。 開始10秒、またしても助手席の圧勝。 股間を押さえて、のたうち回るあいあんはそのまま救急車で病院へ運ばれるのだった。 ・・・・・ ・・・ うっ、あー、、夢か。。。 「んがっ、うぐぐっっ。」 が、股間の痛みだけは夢ではなかったようだ。 実は月曜の朝に起きたときからこの痛みは始まっていた。 丸2日間、股間を蹴り続けられるような痛みが続いて、火曜夜の仕事は事実上不可能な状態だった。 痛みのあまりイスにも座れず、体を'く'の字に曲げた中腰のまま中学生に自習せよと告げる。 心配した女子中学生が「どこが痛むの?」と尋ねてくるが、返答に困っていると、 別の女の子が「痔だよ、痔。^^;」と耳打ち。 「ちっがーう。痔じゃないよ。・_・;」 「じゃどこが痛いのょ。」 「う、、、・_・;」 「ね、痔なのよ。だからこれ以上聞いたら可哀想だからみんな黙っていようよ。」 こらーー、みんな納得するなーーー。^^; が、もうそんなことはどうでもイイ、というくらいまで症状は悪化していた。 22時過ぎには痛みは局部から下半身全体に広がっていた。 23時過ぎ、心配した助手席が駆けつけてくれる。 腰や太股の裏や足の裏をマッサージしてくれた。ちょっと痛みが和らいだような気がした。 ふとPCを見るとチャットでマンガの話題になっている。 よせばイイのにココでチャットに乱入。 漫画家である妹のPRをさせて貰った。^^; が、やはりこれがマズかった。 せっかく退いた痛みがまたじわじわと襲ってくる。 痛みと戦いながらも、前夜の不眠もあってか浅い眠りに落ちた・・・。 ・・・水曜午前04時。 痛みのあまり変な夢を見ながらココで目が覚めたわけだ。 救急車を呼ぶ時間も惜しく、原付に乗って近くの救急病院に直行。 赤信号は全て無視した。^^; 病院に着くと当直の看護婦が「支度が出来るまで待合室でお待ち下さい。」という。 わずか数分が何時間にも感じられる。 「あいあん(もちろんホントは本名どす)さん、お入り下さい。」 「は、はい。」 もう歩くこともできない状態。這って診察室に入る。 「そんなに痛むんですか?」 医者が気の毒そうに聞いてくる。 大股を開き、患部をいろいろいじってくれるがどういじっても痛い。 万力を使ってタマを10分の1の厚さにまでつぶしたような痛さだ。 「んがぁーーーー。」 未明の病院にあいあんの叫びがコダマした。 ところがこの当直医は内科が専門だそうで、よく分からないときた。(だったら最初から適当にいじるなよ。^^;) だもんで、この病院の泌尿器科の医師の自宅に電話している。 「もしもし、朝早くからすみません。K病院のAですが、B先生ですか? じつはこれこれしかじかで。。。はい、わかりました。」 ふー、その医師はため息をつくと看護婦に語りかけた。 「お前らで勝手にやれってさ。」 はは、痛みのために意識朦朧となりながらも、今後ココの泌尿器科には絶対掛からないぞ、と心に誓うあいあんだった。^^; その後、この優しい当直医はあちこちの救急病院に問い合わせてくれて、泌尿器科の当直医がいる引受先が見つかったのでそちらの病院に行った方がイイ、と言う。 1も2もなく頷いた。 すぐにK病院から近くのO病院まで救急車で搬送される。 到着すると早速泌尿器科の医師が先ほどと同じように触ってくる。 「これは痛いですか? これはどうですか?」 でも、さすがに専門医ということで痛いときと痛くないときがはっきりしている。 んが、痛いときはホッンットッにイタイ。 こんな痛みに耐えなくてはいけないのならオンナになってもイイ!、とマジで心底思ってしまった。 で、もしオンナになったらハンドル名は「あい」か「あん」がイイな、などと、こんな深刻な状況でも馬鹿なことを考えているあいあんだった。^^; さて、何度かあいあんの絶叫が続いたあと、この医師が紙に図入りで病状を説明してくれた。 話によるとどうやら「セイソウネンテン」の可能性が高いらしいという。 ココからはちょっと医学的なまじめな話。 男性諸氏ならわかると思うが、セイソウ(いわゆるタマ)はインノウ(いわゆるフクロ)の中で自由自在に動き回れるものということだ。 今回はこれが一定方向にグルグル回ってしまったために付随する精管・動脈・静脈までもがねじれてしまい激痛を呼んだということらしい。 ところが、痛みだけで終わればイイが、血管もねじれてしまうことは血流のストップを意味し、やがてセイソウの組織が壊死してしまうことを意味する。 このような詳しい話を始める前に、まず医師が聞いてきたことは、 「もう子供さんはいらっしゃいますか?」 うげっ、イヤな予感。^^; 「子供どころかまだ独身です。」 「そうですか、、、、痛みが始まって12時間以内に手術すれば元通りになる可能性も高いですが、話によるともう2日も経過しているということですから、すでに腐っていると予想されます。摘出しかありませんな。」 なんとっっっ。。。・・; ホントに摘出しなければならないのか。 この時、まず浮かんだのは助手席の顔でも家族の顔でもなく、爆笑問題の田中の顔だった。 ワイドショーを見て笑ってしまったバツだな。^^; 即入院が決まり、即手術も決まった。 「あー、これでしばらくは採集に行けないな。」 と相変わらずバチ当たりなことを考えているあいあん。 そのバチが当たったのか当たらなかったのか。 手術前には剃毛(ていもう)という段階がある。 手術時に傷口からばい菌が入ったり邪魔になったりしないよう、毛を剃るアレだ。 今回の患部はもちろんアソコなので、当然そのまわりはツルツルにしなければならない。 若い看護婦さんが早速カミソリを持ってやってきた。が、どうもこの看護婦さんはまだまだ新米のようだ。^^; 思いっきり泡立てて、いろいろいじってくれる。^^; ココ数日間、痛みのあまりずっと縮こまっていた部分だったが、この不器用な指さばきのせいで別の意味でやや腫れてしまったかもしれない、ということにはあえて触れないでおこう。^^; さて、手術が終わり医師から説明を受けたが、「2日も経過していたわりには、完全に壊死していたとは言えない」状況だったらしく、どうやらまだ摘出されずに済んだようだ。ホッ。^^; 今後悪化しないことを切に願うばかりである。 術後1週間が経過し、抜糸も無事完了。 しかしまだ、歩くときにガニ股で歩かざるを得ないところがなんとも情けないところではあるがとりあえず退院許可が下りた。(^^)v 退院時に医師から「風呂は明日までダメ」という注意だけ受けたが、その他の制限はないという。 ということは採集には行ってもイイということだ。^^ というわけで、退院したその晩から、 「ホッッントにあなたってバカね。(-_-メ」 と呆れ返っている助手席を乗せて檜枝岐へ向かうあいあん。^^ しかし、あいあんの心配は、 「このツルツル状態では温泉に入る時ちょっと恥ずかしいかな?^^;」 という1点しかなかったのだった。 ******************************************************************** 10月12日で、ヒメオオ31頭、アカアシ8頭が採れた。 古き良き時代だなぁ。^^ ヒメオオ♂ 檜枝岐より ヒメオオ♂ ヒメオオ 19♂♂12♀♀ アカアシ 4♂♂ 4♀♀ コ 1♂ 計 40頭
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