あいあんさん,みなさん毎度です。 計画の上では,この手紙は第二弾のくわハウス・フランス特派員の採集記となるはずのものでした。 しかし現実というものは,夢見る中年狸に時として残酷なものです(もしかしたらこれが当然なのかもしれませんね)。 今週土曜日も再びRaon l’Etapeの山に行ってきました。 金曜日の夕方に母狸から 「どうせ今週末も行く気でしょ?それなら子狸達の疲れもあるから土曜日にしない。」 という提案を受け,一も二もなく同意した狸でした。 今回は前回奇跡が起こった場所を重点的に攻めてみるつもりで, 途中で少しだけ他の800M級の山の近辺を探ってはみましたが,一日を費やしました。 でも結果はというとボーズでした。 そこで素人なりに少しは頭を使ってみようと思い,みなさんにご意見を伺おうと思うものです。 現場は大まかに言うと以下のような場所です。 細い道沿いにブナとコナラの大木があり(種類は下に落ちている実で確認しました), 奇跡の木を含めてその他は比較的若いコナラ・ブナ・カエデそれと針葉樹の混合した森となっています。 道の反対側にも森があり,ブナ等はあります。 前回の経験を踏まえ,今回は上の向いたままのルッキングが主体でしたので,首がギシギシと音を立てるような (桧枝岐のヒメオオ採集のような)状態でした。 ところが飛来するのは「いつもの」フランス産アカコメツキを筆頭に,カミキリ虫,ジョウカイボン (こいつが色といい,サイズといい非常に紛らわしい!), ゾウムシ(チョッキリ系)の一種でメタリックに輝いたのが飛来した時には, 母狸とともに「遂に来た!待ってて良かった」とまで言ってしまいました。 ところが捕虫網の中を確認して・・(T_T) 林道の中も相当奥まで分け入りましたが,影は見当たりませんでした。 車の方に戻って奇跡の木を含む開けた場所をじっくりと探していました。 その時に自分なりに立てた仮説があります。 1.森の奥深くというよりは,開けて日当たりの良い場所にコルリは生息しているのではないか。 2.若木を幹から葉先までみても中々見当たらないため,もしかすると前回のコルリは大木の非常に高い梢に生息しており,たまたま近くの 木まで飛翔したところを運悪く狸に見つかったのではないか。 3.前回が気温25℃以上であり,今回は朝のうち15℃午後になり20度前後ということから,比較的気温が上昇した時に活発になるのではな いか。 というようなものです。 また,この場所は高度があまり高くないせいか,殆ど新芽というものが既にありません (勿論高い梢にはあるのかもしれませんが)。 新芽に飛来するというコルリの習性を考えれば,もうこの場所は時期的に遅いのではないかと不安にもなります。 しかし,いくらまぐれとは言え,前回ここにコルリが居たことは事実です。 それを裏付けるかのように,今回の終了間際に「悔しいなぁ」と独り言をいいながら大木の下を歩きまわり, 落ちている枝を拾って裏返したところ・・・・・・(@@) 「こ,これは!コルリの産卵マークではないか? くわハウスで見たものとそっくりだぞ!!」 さらに少しだけ削ってみるとクワガタらしき幼虫まで出てきました。 幼虫は運送方法が悪かったためか,自宅に夜遅く帰りついた時には一文字に硬化してしまっており, 現在集中治療室(?)に入ってはいますが,おそらく☆に召されるでしょう・・・・(涙)。 しかし産卵マークのついた小枝は大事に持ち帰り,現在は飼育マットを敷いて湿気を与えています。 もうすこしで,成虫の写真とともにお送りいたしますが,この産卵マークは非常に新しくつい最近つけられたもののようでした。 それ故,削らないでいます。 但し,枝そのものの数が非常に少ないので,今後出向いたときには,周囲の森に落ちているブナの枝を, 大木の下に置いて来ようと思っています。 当然その成果が出るかもしれないころには,狸はここにはいないかもしれませんが・・・・・(^^; もし狸の仮説が正しく,高い梢から飛翔しているとすれば,今後もここでは神様の気まぐれか, 前回のようにあいあんさんが直前に放虫してくれなければ(しつこくて済みません!(^^;;)採集見込みは期待薄です。 最大一週間に一度しかでかけられない,しかも限られたシーズンには,今後どうしようか正直言って迷っています。 ただし,自信過剰になることなく,もう少しここで経験値を積もうとは思っています。 今回思ったのは,フランスの山にはブナ・コナラは意外なほどに多いということです。 少しずつ開拓していけば,また必ずやこの瑠璃色の小さな宝石は現われてくれると信じています。 それと,南フランスの某山にも是非行かなければなりませんからね。 桧枝岐のように,個体数の多い場所で,周囲の環境等を情報として仕入れてくるのが最も早道かもしれないなぁとも思います。 そうだ!今回林道でギョッとするものを発見しました。 全長10センチ程もある赤みを帯びた「ナメクジ」です。 ご不要とは思いますが,まぁ百聞は一見にしかずともいいますから(用法を間違っているかなぁ?) 他の写真と一緒に送信しますね。 「標本ノスゝメ」にあいあんさんが書かれていたことに狸も賛成です。 今日前回奇跡の木で採集した2頭を標本にしました。 酢エチがなかったので,近くの日曜大工用品店からシンナーを買ってきて代用しましたが。 前胸の下部には,間違いなくコルリである出っ張りがあります。 そして大変綺麗でいつまで眺めていても飽きません。 こうして標本を見ることによって,そのときの光景が思い出されますよね。 そのためにも,狸にはあまり沢山採れない方が良いのかもしれません(完全に負け惜しみです)。 今回は採集記では無く,不採集記となってしましたが, フランス特派員は例えボーズであっても何かを学び取ろうと頑張っておりますので,今後ともよろしくお願いいたします。 ではまたご連絡いたします。 本日の戦果 何かわからない幼虫1頭(おそらく☆) 産卵マーク多数(何のこっちゃ!) その他クワガタ以外の甲虫 子連れ狸 in Paris ご感想はこちらまで |