5月24日(木)快晴 あいあんさん,みなさん,こんにちは。今日はキリスト昇天祭でフランスは休日です。 となると,例え家が真言宗の狸であってもお休みなのです。 しかも,天気はこのところ快晴続きで,これを逃したら「くわハウス」フランス特派員の名前を返上しなければいけませんね。 ところが,前の日に久しぶりの日本蕎麦で少々飲みすぎた (パリにはサン・ジェルマン・デ・プレに本当に香りの高い美味しい蕎麦やさんがあります。 またそこのマスターが…とこれ以降は来ていただいた時の楽しみにとっておきましょう) 狸は,朝6時に目ざましで起きても,何となく未だ酔っているような最悪のコンディション! どうにか支度を済ませて,子狸二匹といざ出発です。 え?母狸はどうした? 母狸は,今日は家で休養コースを選択したため,久しぶりの父子狸状態となったのです。 今日のテーマは, ・ コルリクワガタの生息場所を確定すること ・ 前回よりも標高を上げて,新芽の旬を探し出すこと の2点です。 まず初回の奇跡の場所で,改めて新芽の季節が完全に終了していることを確認した狸は, 無謀にも自分の運だけをたよりに新規開拓に乗り出しました。 でもやはり現実という壁にぶつかるまでに,長くは要しませんでした。 標高を1000m程度まで上げたのですが,やはり新芽は数本の木に1つあれば良い方,という状態です。 それに,ブナやナラも針葉樹林に囲まれて,時折申し訳なさそうに顔を出す程度です。 出会うのはいつものコメツキやハンミョウ,センチコガネに巨大ナメクジ・・・・(ToT) 子狸達は,彼女らなりに,良く逃げ回るハンミョウを捕まえては「タコ取れだぁ!」と時の声をあげています (フっ!おめでたい奴らだ!)。 行けども行けども良さそうな場所はありません。 突然,車が全部路肩で駐車しなければならない程の土砂降りに見舞われたりしながら,探索のドライブを続けたのですが, 気がつくと「ヤバイ!タイム・オーバーが近づいている」という時間になっていました。 そこで,考えた挙句,奇跡の場所にもう一度戻ることにしました。 戻ってみると,やはりここが一番適切な場所に思えます(但し,多分に思い込みだとは思いますが・・・(^^;;)。 そこで今度は,ブナやナラの木の下に転がっている落ち枝を集めてきて,最後の30分1本勝負です。 材採集は実は殆ど初体験だったのですが,なんとか見よう見まねで始めてみました。 パリっと樹皮がめくれると,古い産卵マークがついています。 そしてその木を割ってみると,見覚えのある木屑が詰まった食痕が目に入ります。 「オオ!」っと思いその後をたどって行くと・・・木の外まで続いていました(アアアアアア・・・)。 しばしため息。 でも時間が限られています。落ち込んでいる暇はありません。次の枝,次の枝と取り掛かります。 そのうち幼虫が出てきました。食痕といい形といい,間違いなくクワガタの幼虫と思われます。 そしてサイズを考えると終齢段階かもしれません。 また背中を見ると,どうも内側に斑点状に青い色が見て取れます。 素人の幸せなところは,きちんと同定できる知識もないのに 「そうか,これがコルリの終齢かぁ!」 と勝手に思い込めるところです。当然キープで持ち帰りました。 その他にも3〜4頭の幼虫を見つけた時に,比較的太い枝を指で崩していた妹子狸が 「お父さん何か居た!」 といって持ってきました。 すっかり自分にしか取れないと思い込んでいた狸は,そのお尻をみても 「またぁ,綺麗なゴミムシかオサムシじゃないのかぁ?」 等と思っていたのですが,良くみると朽木の中には蛹室らしきものがあり,その中にいます。 もしかして,この緑がかった銅色に輝く小さな虫は・・・・・ 「コルリだぁ。コルリの雌だぁぁぁぁ」 1週間半振りに響きわたる中年日本人の声!!! 「キャーッ!やったぁ〜!!!」 と相変わらず乗りの良い子狸の声!!!! そうです。これが正しいコルリの♀なのでしょう。図鑑とそっくりです(当たり前か?)。 初回に採集出来た2頭は大きさが大と小だったので勝手にペアだと思っていたのですが, どう見ても同じ色で縮小コピーにしか見えなかったのです。 こんなことを書いていると,上級者の方々からは「何をそんなことを」と思われるかもしれませんが, でもこうして一つずつ実地で覚えていくしかないのが狸の現状です。 蛹室から出てきたばかりのコルリ♀は,それはそれは綺麗でした。 余りに綺麗だったので,可愛そうではあったのですが,その日の内に締めちゃいました(^^;。 キリストと同じ日に天に召されるのですから,と訳のわからない理由をつけて・・・。 今は下手糞なりに展足しています。 実は前回の2頭は,一週間ほどマットに入れて飼っているうちに,泥だらけになってしまい, 締めたあとに木工用ボンドパックをしなければならない羽目に陥ったからです。 そういえば,標本と言えば,標本修理工TさんのHPを見て,コルリは台紙に貼って標本にすることを事後で知りました。 道理で,我が家のコルリ達は1号ピンとは言え,その体躯に不釣合いな志賀有頭ピンを刺されて, しかも刺される時に外側の羽がよじれたりして散々な状態になっています。 うわ〜!もっと早く知っておくべきだったぁ・・・・! でも例えどんなにみすぼらしいとは言っても,これらに勝る標本は自分の手元にはありません。 パリ市内で偶然見つけて購入したゴライアスオオツノハナムグリの標本よりも,余程大事です。 そして初回の奇跡が起こったときに,自分のことのように喜んでいただき, 励ましてくださったあいあんさんのおかげです。感謝の気持ちで一杯です。 今回までの3回の採集で,日本よりも気温が低いとは言え, フランスの新芽発生は日本よりも数週間は早いということを知りました。 来シーズンは下見を怠りなくして,是非とも飛び交うコルリをこの眼で見てみたいものです。 と,文書上はこのような終了モードに入りながらも,実はまだ「もう少し標高を上げれば」とか 「情報をいただいたあの場所に行けば,もしかしたらまだ・・」とか考えている自分が居ます (母狸には内緒です・・・(^^;;;;;;;;)。 小さな飼育ケースに鎮座している小枝からも,いつか綺麗なコルリが出てきてくれることを祈っております, アーメン(何てったって,今日はキリストの日ですから・・・許して下さい>弘法大師様)! 日本は今週末辺りが爆発状態になりそうですね。 あいあんさんをはじめ,皆さんの採集記を楽しみに読ませていただきます。 しょぼい結果ではありますが,狸も7時間遅れの国で楽しんでおります。 では,また。Good Luck! 子連れ狸 in Paris ご感想はこちらまで |