11月も第2週に入ると、最高気温が10℃を下回り、めっきり寒くなってきました。日の長さもみるみると短くなっていき、 採集条件はますます厳しくなる一方です。採集に出たくて悶々としている自分を家内がつい見かねてか、11日の第一次大戦 休戦記念日の祝日、午前中だけ採集に行ってよいとの許しを出してくれました。願ってもないことです。 まだ夜明け前で薄暗い午前7時40分頃に車で家を出て、高速を(思い切り)飛ばすと、8時30分前には フォンテーヌブローの森の現地に着くことができました。 しかし、あいにくの曇天で、その時間になってもさほど明るくありません。それでも、限られた時間ですので、 早速探索を開始します。コルリ材を求めて、今日は少し林内に分け入ることにしてみます。 コルリ材らしき黒ずんだ細い落ち枝は、探せば至るところで見つかります。ところが、肝心の産卵マーク付きのものが なかなか見つかりません。「産卵痕がなくても、それらしき材を割ってみる」というポリシーを実行していきますが、 見つかるのは、アブのものらしき幼虫だけ。それは大き目の蛆という感じで、けっして気持ちのいいものではなく、 こればかりは「ノン・メルシー」です。 こんなはずではなかったと、気ばかりあせるうちに、とうとう貴重な時間を1時間も無駄に費やしてしまいました。 このような状況になると、いったんは初心に返ってみる(?)必要があります。前回、前々回と、コルリの幼虫や産卵痕が見つかった 場所を思い出して、そこで集中的に材探しをする方が良いようです。そこは、林縁の、車道のすぐ近くです。 林縁付近の方が、まだ葉の落ち切っていない林内よりも明るいというメリットもあります。何とかその場所を見つけ出し、 腰を落ち着けて材を拾ってみると、早速産卵痕が見つかりました。 やはりこのマークを頼りにコルリ探しをするしかありません。「根掘り」で慎重に材を削ぎ落としていきます。 すると、ポコッと小さな蛹室の窓が開きました。中には、どうやら何かの成虫が入っているようです。 はやる心を抑えて、慎重にもう一削ぎしてみると、出ました。見つかりました。見つかってくれました。 コルリの♂のようです。深い藍色です。これが晴天の日の光の下ではもっと美しいのでしょうが、 曇天下でも十分に綺麗です。嬉しさが一気にこみ上げてきました。 次に拾い上げた材にも、やはり一つだけ産卵痕が残っていました。今日は産卵痕一つずつについて勝負している、という感じです。 すると、幸運にもこの材にも成虫が入っていました。 どうやらこれもコルリ♂。しかし、画像で見られるとおり、ヨーロッパコルリの♂は日本のコルリと違って、 脚はオレンジ色ではなく、裏返すと脚も腹部も鞘羽と同じ深い藍色一色のようです。また、(これは自宅に 帰ってから分かったことですが、)この2頭目の♂の鞘羽の色は、1頭目よりも微妙に緑がかった感じでした(下の画像右)。 なお、同じ材から3令幼虫も2頭採れました。 その場所に腰を落ち着けたまま、またしばらくすると、今度は産卵痕の見られない材からも、こんな成虫が出てくれました。 これは、日本のコルリ♀のように、脚や腹部がオレンジ色です。表に返してみると、先ほどの2頭よりも一回りほど小さく、 色はやはり深い藍色をしています。形からすれば、やはり♀のようです。素晴らしい幸運、これでペアを確保することが できました。 最初の一時間と違って、次の一時間は好調のうちに瞬く間に過ぎていきます。そして10時30分頃、曇天がにわかに 暗さを増し始め、とうとう雨が落ちてきてしまいました。前回のように傘を差しながらの採集はもうコリゴリ、 良い潮時のようです。 それから車を(今度はいく分慎重に)飛ばして、11時30分前には自宅に戻ることができました。こうして、朝のうちだけで コルリ採集を十分に楽しむことができたのです。 パラレリの採集ポイントは、自宅から車で10分ほどの場所、しかもそこではミヤマが見られる可能性もごくわずかながら ありそうです。そして、コルリの採集ポイントは、こうして自宅から車で45分ほどの場所にとりあえず確保することが できました。パリには、クワガタをはじめとする昆虫の種類が少なく、厳しい採集環境であることを覚悟していたのですが、 なかなかどうして、幸運の数々。これからの展開に期待が膨らみます。 だから、お願い、もっと採集に行かせてくださいね、マ・シェリー。(^^; えいもん in Paris ご感想はこちらまで |